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2013年11月 vol.1

大切な、統合モデルと認知行動療法。これらが無かった時代。

2014年06月09日 14:34 by m-actformentalhealth
2014年06月09日 14:34 by m-actformentalhealth

私が地域の精神科の医療や福祉に興味を持ち、これに積極的に参加するようになった理由を、専門用語を用いながら挙げるならば、ひとつは、統合モデル、もうひとつは認知行動療法を実践したかったことにあります。

これらについて、その歴史的な起源とともに、これから何回かの記事に渡って、説明をしていきたいと思います。

 

統合モデルや認知行動療法が、精神疾患を持つ当事者への支援のあり方として大切であると認識される様になったのは、この30年ほどです。

統合モデルとは、医師のみならず保健師、看護師、薬剤師、作業療法士、心理士、精神保健福祉士、社会福祉士、その他の、あらゆるスタッフ達がチームを組み、それぞれの良い特徴を生かしながら、当事者への支援をチームによって提供していく、そういった様子を指します。

認知行動療法とは、周囲をどのように認識するか、自己の意思を記憶や流ちょうな思考によってどのように決定していくか、そして、言葉を出す、表情を作る、身振り手振りなどの行動をするといった、人として大切な営みについて、本人の利益になるように訓練をするものです。

 

日本や欧米も含めて多くの地域では、30年よりも遥か前の時期においては、医師がほぼひとりの専門家として、もしくは他に専門家・スタッフがいたとしても医師の指示のもと、おのおのが働きをするといった体裁にて、治療や支援が提供されてきましたし、そもそも、かなり多くの当事者達は、長らく、精神科の病院に入院という形で人生の拠点を置き、たとえ激烈な症状がじゅうぶんに消えていたとしても、そこで生活をせざるを得ない時期が続いてきていたのです。

このような時期においては、あらゆる精神疾患に対し、それぞれにうまく効く、しかも副作用が少ないといった薬は開発されていませんでした。ですので、多くの当事者は症状がなかなか改善せず、よって入院が長引く傾向にあったといえますし、さらには先ほど述べたように、たとえ状態が良くなっていても、地域社会には当事者達をいわゆる受け皿として支えるような場所や団体などが少なく、結果として当事者は長く病院の中で生活をしてきたのです。

 

1960年代までにさかのぼる話になりますが、こういった長らく病院に入院せざるを得ない方々に対して、二つのアクションが欧米を始めとしたいくつかの国や地域において、見られるようになりました。

 

次回は、地域での自立した生活を実現する礎となった取り組みについてお話をします。

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